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From: ゆうじ
<yuji.shimozono@nifty.com>
Subject: スティルチェス測度
Date: 2001/11/23 05:11:01
スティルチェス測度とは、積分路が曲線の積分と考えていいのでしょうか?
だったら複素積分はスティルチェス積分なのかな?違うよーな気がするけど。。
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From: よう
<yo_yama@mdas.ous.ac.jp>
Subject: Re: スティルチェス測度
Date: 2001/11/25 23:39:14
Reference: room1/00022
11月23日に、ゆうじさんは書きました。
>スティルチェス測度とは、積分路が曲線の積分と考えていいのでしょうか?
>だったら複素積分はスティルチェス積分なのかな?違うよーな気がするけど。。
「積分路が曲線の積分」は、「線積分」です。したがって複素積分も線積分です。
では、線積分とスティルチェス積分はどう違うのか?
質問をこうとらえなおすと、ううむこれは困った。あんまり考えたことなかったけど1次元で
条件のよい場合は同じっちゃあ同じだなあ。
本来違うものだしそれぞれ分かってるつもりでいたけど、いざ質問されてみるとどう答えたら
いいのかなかなか分からない。たとえていえば、「パンティとズロースってどう違うの?」と聞
かれたようなもの(笑)。そういうことって日常用語でよくあるでしょ。似て非なるもの、でも
いざ訊かれると困るパターン。
もう少し考えさせて…
# 多様体上のリーマン計量とルベーグ測度ってどう違うんだろう^^;
# ノルムって「長さ」だけど、1次元測度も「長さ」だよな。どう違う? ううむ
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From: よう
<yo_yama@mdas.ous.ac.jp>
Subject: Re: スティルチェス測度
Date: 2001/11/28 22:49:30
Reference: room1/00023
「スティルチェス積分と線積分の違い」ですが、「関数と曲線の違い」みたいなものと
思えばよかろう、というのが結論です。
以下簡単のため2次元平面で考えます。
“曲線”は本来幾何学的な概念ですが、これを解析的に表現するには、1パラメータ関
数を使って(φ(t), ψ(t))で表しますよね。というかむしろ、解析学ではこれを“曲線”
の定義とします。(点集合すなわち図形として同じ曲線でも、「スピード」が異なれば異
なる“曲線”であることに注意。図形としての曲線は「曲線の台」と呼んだりもしますが、
ここでは「幾何学的な曲線」とでも呼ぶことにします。)
では「関数」と「曲線」の違いは? と聞かれたらどう答えますか?(笑)
ともかく、「関数による積分」がスティルチェス積分で、「曲線による積分」が線積分
と言えるでしょう。
もう少し詳しく述べるために、ちょっとそれぞれの復習:
【A.スティルチェス積分】
スティルチェス積分∫f(x)dφ(x) は、
Σf(x_[i]) ( φ(x_[i]) - φ(x_[i-1]) )
の極限として定義される。
(1) スティルチェス積分が定義できるためには、φが有界変動である必要がある。(ちな
みに、連続と有界変動は一方から他方が導かれず、連続かつ有界変動でも微分可能とは限
らない。C1級ならば連続かつ有界変動。)
(2) これはf(x)が連続でない場合にも一般化でき、さらにφを測度と考えてルベーグ方式
にまで一般化できるが、リーマンの場合でもルベーグの場合でも、fの可積分条件は普通
の積分の場合とは異なる。(fが有界連続あるいは有界ボレル可測なら問題ないが)
(3) φがC1級の場合は、スティルチェス積分はただの置換積分 ∫f(φ(x))φ'(x)dx になっ
てしまう。
【B.線積分】
曲線C:(φ(t), ψ(t))による、(xに関する)線積分∫[C] f(x,y)dx は、
Σ f(φ(t_[i]), ψ(t_[i])) ( φ(t_[i]) - φ(t_[i-1]) )
の極限として定義される。
(1) 線積分が定義できるためには、曲線が「長さをもつ」必要があるが、これはφ,ψが有
界変動であることと同値である。
# これはたしかにφによるスティルチェス積分です(A-(1)参照)。fが二変数関数で、
ψ(t)が余分に入っているだけですね。
(2) yに関する線積分も、同様にψによるスティルチェス積分として定義される。
(3) 弧長sに関する線積分∫[C] f(x,y)ds というのもあるが、同様。
(4) (φ(t_[i]),ψ(t_[i]))は、幾何学的な曲線上の分点(φ_[i],ψ_[i])と考えられるから、
線積分は実は幾何学的な曲線にのみ依存し、パラメータの取り方によらないことが分かる
(ただし符号だけ「向き」に依存)。
(5) xに関する線積分とyに関する線積分を合わせて、「微分形式」f(x,y)dx + g(x,y)dy
の線積分と考えるほうが、より幾何学的に意味がある((f,g)が座標系に依存しない「ベ
クトル」であれば、微分形式したがってその線積分も座標系の取り方によらなくなるか
ら)。 複素積分もこれの特別な場合。
(6) 普通「曲線」というときは、最低でも連続性を仮定する。しかし連続かつ有界変動で
もまだ弱く、φ,ψが(区分的に)C1級(導関数が連続したがって接ベクトルが連続的に
変化する)くらいでないと「曲線」らしくない。
そこで普通は、線積分を定義するときは φ,ψを(区分的に)C1級とするので、
∫[C] f(x,y)dx + g(x,y)dy = ∫[C](f(φ(t),ψ(t))φ'(t) + g(φ(t),ψ(t))ψ'(t)) dt
となってしまう(A-(3)参照)。(したがってこの右辺を定義にしてしまう場合も多いが、
その場合はパラメータの取り方によらないことは置換積分の公式とかで別に示す必要があ
る。)
以上からわかることは、
・スティルチェス積分は、「有界変動」といった(C1級などよりずっと一般の)関数に
ついて考えることに意味がある。
・線積分は、C1などの自然な条件のもとで、幾何学的に意味のあるものである。
これってそもそも「関数」と「曲線」の違いと同じでしょ? 曲線はたしかに関数で定
義するが、直感的に曲線と思えるためにはかなり強い条件を課する必要がある。しかしそ
のおかげで幾何学的に意味を持つ。関数は、もっと広くいろいろなものを表すことができ、
その条件もいろいろである。広いクラスの関数でものが言えると嬉しい。 …
というところでどうでしょう。
疲れた…^^;
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From: ゆうじ
<yuji.shimozono@nifty.com>
Subject: Re: スティルチェス測度
Date: 2001/12/04 04:10:49
Reference: room1/00027
11月28日に、ようさんは書きました。
> “曲線”は本来幾何学的な概念ですが、これを解析的に表現するには、1パラメータ関
>数を使って(φ(t), ψ(t))で表しますよね。というかむしろ、解析学ではこれを“曲線”
>の定義とします。(点集合すなわち図形として同じ曲線でも、「スピード」が異なれば異
>なる“曲線”であることに注意。図形としての曲線は「曲線の台」と呼んだりもしますが、
>ここでは「幾何学的な曲線」とでも呼ぶことにします。)
この感覚はかなり新しい考えですね。(僕にとっては。「関数のイメージ」として。
スピードによって同じ軌跡でも違うものと見るのですね。
なんか物理チックというか微分方程式論チックな話ですね。
> では「関数」と「曲線」の違いは? と聞かれたらどう答えますか?(笑)
上の例ではパラメータがtなのでどうしても時間として考えるとここでいう
関数は「軌跡」を表すようなものかな。じゃ「曲線」はというと「相空間」みたいなもの?
うーん、的はずしてるような気もする。。。
> 以上からわかることは、
>・スティルチェス積分は、「有界変動」といった(C1級などよりずっと一般の)関数に
>ついて考えることに意味がある。
>・線積分は、C1などの自然な条件のもとで、幾何学的に意味のあるものである。
>
> これってそもそも「関数」と「曲線」の違いと同じでしょ? 曲線はたしかに関数で定
>義するが、直感的に曲線と思えるためにはかなり強い条件を課する必要がある。しかしそ
>のおかげで幾何学的に意味を持つ。関数は、もっと広くいろいろなものを表すことができ、
>その条件もいろいろである。広いクラスの関数でものが言えると嬉しい。 …
「有界変動」の意味がまだわかってないので漠然としか分からないですが
けど区別はわかりました。スティルチェスが「関数」で積分で、線積分は幾何学的
な本当に「線上」で積分してるんですね。たしか、「関数解析」の本で「有界変動」
という単語はちらっと見た覚えがあるのでまた勉強してみます。
> 疲れた…^^;
とても丁寧に解説してくださって
どうも有り難うございました。とりあえず、「違い」はわかりました。
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From: よう
<yo_yama@mdas.ous.ac.jp>
Subject: Re: スティルチェス測度
Date: 2001/12/04 07:54:34
Reference: room1/00031
12月4日に、ゆうじさんは書きました。
>> では「関数」と「曲線」の違いは? と聞かれたらどう答えますか?(笑)
>
>上の例ではパラメータがtなのでどうしても時間として考えるとここでいう
>関数は「軌跡」を表すようなものかな。じゃ「曲線」はというと「相空間」みたいなもの?
>うーん、的はずしてるような気もする。。。
ここの部分の意図は、「関数」と「幾何学的な曲線」の違いのことではなく(それは明らかに
違う)、関数として考えるときのφ(t),ψ(t)と、曲線として考えるときの(φ(t),ψ(t))に違
いがあるのか?ということでした。(スティルチェス積分と線積分の違いもその程度のものだと
思われるので)
yuji.shimozono@nifty.com
Last Update: 24 March 2002